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【文部科学省「特色ある大学教育支援プログラム事例集」345〜351頁より・一部修正】

■取組の有効性

これまでの取組の教育効果は、さまざまな面で顕現している。
まず、第1に、学生たちの自主的な地域貢献活動が展開するようになったことである。広報誌Orion、活動紹介CD、ホームページの作成を通して、本取組を地域に発信するチーム「小鳥遊(たかなし)」、新潟県中越地震の影響で群馬県に及んだ強い揺れでパニック陥った外国人集住地域を支援するチーム「アーク」、生まれ育った社会や言語が異なる子どもたちへの教育支援を展開するチーム「フレンドシップ」、保健室のない外国人学校に健康啓発を展開するチーム「エンフェルマリア」など、自分たちの興味関心や専門領域から、現在9チームが活動している(写真1)。その活動はペルー領事館のホームページ等にも紹介された。

学生チーム

第2の教育効果は、多文化地域の現状から研究関心を高め、卒業研究等に取り組む学生が現れたことである。「外国人児童にみる二桁のかけ算のつまずき」(教育学部学生)、「多文化地域におけるエスニックメディア」(社会情報学部学生)、 「ブラジル学校児童の肥満と食生活の関係」「在日外国人学校に通う小学生の活動実態」(両者とも医学部保健学科学生)等の論文が作成された。さらに教育学部では毎年、フレンドシップ事業で多文化共生教育実践の在り方を学ぶ学生が報告書を作成している。 本年度で5册を数えるこれらの報告書は、学校教育現場での教員・児童生徒・学生・大学教員の協働の研究成果として、他地域からも高く評価されている。

第3の教育効果は、学生の専門的職業人としての資質が高まっていることである。先述したように多文化共生教育に関するフレンドシップ事業のカリキュラムは、3年間の構造化されたカリキュラムとして学生に提供しているが、2004(平成16)年度に3年間の履修を終えた学生が初めて輩出された。 その学生の教員採用試験の合格率は100%だったことも、専門的職業人としての資質の高まりを現している。